方法論より気持ち
社内プロジェクトで業務効率化を模索中です。
先日私のチームで提出した案は、上司からの反対意見にあってしまいました。それに応じて今後の方向性を定めるべく、昨日はチームメンバーで集まって打ち合わせをしていました。
経緯
「新技術研究」を銘打ったプロジェクトの一環なだけに、新しいこと(製品、ツール)を業務効率化につなげなければなりません。
そこで私たちのチームはOCR(光学文字認識)に着目しました。
何を効率化するかというと、システムの設定画面を撮影したスクリーンショットから文字を認識し、ドキュメントに転記するという構想です。
ところがこれを実現するのはかなりの高難易度です。人間が設定画面を見たときに頭を使って「この設定はドキュメントのここに書こう」と考える部分を仕組み化するわけですから、実現可能性が見えません。
というわけで、そんな高望みは一旦無しになったのです。
「ドキュメントへの転記は難しいが、画像から文字が取り出せるだけでも多少は楽になるんじゃないか」という案のもと数ヶ月にわたりいくつかのOCRソフトを試してきました。
そこでいくつかの製品をふるいにかけて、いい製品をリストアップしました。さてこれから本腰を入れて検証!というときに見直しがかかったわけです。
「それだけでは大した効果にはならないのではないか」という上司の意見ですね。
10cm未満のハードル
大した効果にはならない…確かに私の中にもそんな気持ちが無いと言えば嘘になります。
業務効率化は方法論だけ提供しても進まないと思います。
これまでのやり方から切り替えるのが容易、かつ効率化が目に見えて実現できるものでなければ浸透しません。
片脚を意識的に上げて越える必要があるハードルが目の前にあると、たいていの人はそれを避けるのです。
私からすると最もスムーズなのがハードルを越えて一直線に突き進むことなのですが、どうも社内を見渡すとそんな人は少ないようですね。
たとえばパソコンのショートカットキーなんて、繰り返し動作にはもってこいの真っ先に越えるべきハードルだと思いますが、面倒がって覚えない人がいます。
さて話をOCRに戻すと、「画像中の文字をテキストデータにする」だけでは多分使わない人が大量発生するはずです。
試す前から「大した効率向上にはならないだろう」と思ってしまうと、今まで通りの手打ちに落ち着きます。そうすれば新しい方法(ツール)を学ぶ必要が無いですからね。
展望
というわけで難航中のプロジェクトなのですが、少しだけ考えているのはスクリーンショットの撮り方自体を工夫させて、利用しやすいデータを作り出せないだろうかということです。
たとえばごく限定的な範囲を撮影して、そこに書かれたメニュー名と設定値をデータに変換するような仕組みです。
Google Cloud Vision APIというツールを使えばそのあたりがうまくできないかと、思いつきレベルで話しています。
今後の課題は山積みですね。どうにかして人々の使う気を起こさせるようなハードルの低い仕組み作りを目指そうと思います。