『お金2.0』有用性以外の価値を見出そう
お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)
- 作者: 佐藤航陽
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2017/11/29
- メディア: Kindle版
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やりたいことをやる時代が来ています。
『多動力』にしてもそうですし、その他最近読んでいる本がことごとくこの結論に至っているような感触です。
またしてもAmazon Prime Readingの恩恵にあずかって、タダで読みました。
私の感じたこと、おもしろいポイントをご紹介します。
自然の摂理
熱力学の世界では物事は次第に崩壊に向かってエネルギーを発散していくそうです。たぶんエントロピー増大ということですね。
でも自然は成り立っています。それはエネルギーが循環しているからです。
経済も同じことで、お金が循環しているから成り立っています。
全員が一斉にお金を貯蓄に回して使わなくなったら、経済が停滞しますよね。
経済と自然は似ているのです。
またはっとさせられたのが、経済と脳の関係です。
人間の快楽を司る、脳の「報酬系」が関わっています。
よくよく考えたら、生物である人間の脳の集合体が経済や社会を構成している
この言葉が強烈でした。
既存の資本主義の枠組みの中ではみんなお金が欲しいですから、その欲にしたがってあらゆる経済的活動が行われているのだなと思った一節です。
数字で見れば株価の上下、儲かったも損したも「冷静なデータ」にしか見えません。
しかしその水面下には激しい欲望の攻防があるのです。
もっとも低いレイヤーに目を向ければ泥臭い人間の姿がにじみ出るなあと感じました。
消費に価値なし
かつてモノが足りなかった時代は、満たすことに価値がありました。
分かりやすく「できなかったことができるようになる」わけですし、有用性の価値がありました。
ところが現在私たちはモノに満たされた生活を送っています。
そうなると限界効用逓減の法則もはたらいてか、モノが要らなくなります。
人々の関心は別のところに向かいます。
それが「人間的価値」と「社会的価値」です。
人間的価値とは、共感、感謝、尊敬などの(それだけでは)お金にならない価値です。
私なりにざっくり解釈すると、「なんか良い」「なんかすごい」と思える人にはこの価値があります。
実は大学時代の音楽サークル仲間にYoutuberがいるのですが、Youtuberって人間的価値を持つ人の集まりだと思います。もちろんニコニコ動画のゲーム実況者でもいいです。
とにかく、彼らは「何かの役に立つから」お金になるのではないのです。人々の希望や憧れの対象という形にできない価値があるのです。
他方、社会的価値とは奉仕活動や慈善事業などです。
貧困撲滅や環境改善なども、誰かが対価を払ってくれるものではありません。
ですが紛れもなく価値はあります。目に見えづらいところですが、波及効果は大きいですね。
こうした有用性以外の価値に着目した例が本書で紹介されています。
人間的価値に着目した例としては社内通貨の話がありました。
社員一人ひとりに一定量の社内通貨を与え、感謝を伝えたいときにそれをやり取りするのです。
貯まった社内通貨を給与に反映させることができる会社もあるようです。
ただ、どちらかと言うとこれは金額に意味があるのではなく、感謝を形にしたところに意味があります。
お互いの人間的価値に目を向けているわけです。非常に興味深い取り組みだと感じました。こんな仕組みがあったら私もどんどんお世話になっている人にばらまきたい気持ちです。
貧困問題をビジネスで解決したという例もありました。
貧困層向けの低金利融資を行った銀行の例です。政治の力を借りずに経済の力で問題解決できるのです。
社会的価値があることを経済の枠組みに当てはめて、成功した例ですね。
上記の2つの例で、経済という生きものをうまく仕組み化していくことが大事だとも思いました。
資本主義から価値主義へ
有用性以外の価値について触れました。
これからはそういう時代なのです。
お金という「価値の入れ物」が独り歩きする時代は終わりを告げ、中身=価値に目を向けるべき時代が来ます。
テクニックで稼ぐということが、資本主義社会には有効です。
しかしベーシックインカムやAI時代の到来でお金自体に価値が無くなったら―
筆者はそこに警鐘を鳴らしています。
もはやお金を稼ぐのではなく価値を高めることに注力すべきでしょう。
身近なところで言えばSNSで「いいね」を獲得できるようなことを見つけましょう、ということだと考えています。
「いいね」はつける側にメリットが無いからです。つけたいからつける、価値を感じるからつける。それだけです。
つまり人間的価値における1つのステータスになります。
本人の熱量は見ている人に伝わりますから、もちろん「本気で夢中になれること」が条件です。「お金を稼ぐ」のと同様、ここでも小手先のテクニックが封じられます。
今再びの自己分析
以前にも書いたのですが、私はいろんなものが「そこそこ好きでそこそこ得意」なハイブリッド人間です。
真に夢中になれるものがなかなか現れません。
もしかすると既存の資本主義的枠組みに適合する「お手本」みたいな人生を歩んできたことが影響しているのかもしれません。
言われたこと(勉強、仕事)をしっかりこなして、我を通すことがない人生です。
当然自分よりすごい人だらけですから、「まあまあお手本」ぐらいですよ。
その枠が崩壊した先に何が待っているのでしょうか。
強いて言えばこうして考えを人知れず語るのは好きなほうなので、もしかするとこれを延々やっているかもしれませんね。
諦めません、価値を得るまでは。