Polyunus

ポリウーヌス(多と一):「日々改善」をモットーに、1型糖尿病患者が多面性を表現し、磨きをかけるためのブログです。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち④掘り出し物

いよいよラストです。

■入試問題の目的
AIがMARCH合格圏に入ったことが何を意味するのか―

三角関数なんて社会に出てからは使わない知識だ。だから入試問題が解けなくても問題ない。」と言う人もいるかもしれません。

しかし、入試問題の目的はスクリーニングです。すなわち、「ちゃんと勉強すれば解ける」という能力、「社会に出てから役に立たなくても、入試だから仕方ない」という合理性・従順さを持った人間が勝ち残るわけです。

入試問題を解けるかどうかという能力でふるいにかけられて大学に入り、そしてその大学の名前を見て企業がまたふるいにかけるというわけです。

■高速収斂の悲劇
世の中のさまざまな情報が、データ化され管理されるようになると何が起こるでしょう。

それを理解するには経済学的な3つの概念を理解する必要があります。「一物一価」「情報の非対称性」「需要と供給の一致」です。

まず、同じ時期に売られている同じ商品は同じ値段がつくというのが一物一価の法則です。

これを根底として、AI技術によってデータ化された社会では情報の非対称性が排除され、需要と供給の一致スピードが速まると思われます。

足で情報を得ることしかできなければ、電気屋を数店舗まわって一番安いところで買うしかないためどうしても限界があります。

これがすべて高速な情報のやり取りで解決されます。価格ドットコムなどの「最低価格」表示がまさにそれです。店まで行かなくても情報が手に入るため、購買行動にすぐ反映されていきます。

ショールーミング現象」も起こっています。実際の店舗で実物を確認し、そこでは買わずにネット上の最安値で買うということです。店舗が単なるショールームと化すわけです。

■仕事探し
果たして人間にしかできない仕事をする能力が、本当に人間にあるのかが問題です。

もしその能力がなければ、企業は人不足にもかかわらず街中に失業者が溢れかえるという悲惨な事態に陥ります。AIにもできる仕事なら、AIにやらせて競争力を高めなければなりません。それを人間にさせてしまうと、コストが高くつくうえ競争力が低下します。

今後どのような仕事をすればよいのか。そのヒントを筆者は「ほぼ日刊イトイ新聞」に見出します。

そこでは手仕事で作られた商品が好評を博しています。なぜかと言えば、ストーリーがあるからです。どんな人がどのようにして作ったのかというストーリーを、消費者は買うわけですね。

そんなのは特別な才能を持った人だけが生み出せる仕事だと言う人もいるでしょう。しかし、第二次世界大戦後の日本を見ると、大勢の壮年男子の戦死にもかかわらず仕事がどんどん生まれました。

日常生活で不便なこと、困っていることの中から、多くの人も同じように感じていることを探すのです。それが仕事につながります。

■感想
入試問題の目的は、よく言われることですよね。特に子どもは「大人になったら使わない知識なのになぜ勉強するのか」と疑問に思うことが多いと思います。

言ってみれば人間としての基礎力を試されているんですね。言われたことをこなす能力や、読解力、思考能力です。

ショールーミング現象は、私個人の中でも発生しています。大体の商品はネットで価格比較します。サービス料、手数料なども情報の非対称性が排除されて価格競争に巻き込まれるというのは、消費者にとってみれば嬉しいことです。不当に高い手数料を取るようなビジネスは成り立たなくなりますから。

さて最後に、今後の仕事のあり方が出てきました。手仕事による一点物の特別感、分かります。

好きなカバンメーカーのFREITAGがまさにそれです。実際に使われていたトラックの幌を材料にして、再利用という形で職人が好きな場所を切り取ってカバンにします。

時には何のデザインか分からないような一風変わった柄もあります。そういう一点物を探すのが楽しいのです。

ベルリンで買ったFREITAGのカバンの柄がとても珍しく、気に入っています。
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日常生活の中でアイディアを見つけるというのはたまにやりますが、なかなか多くの人に支持してもらえそうなものは見つかりません。

これこそ、既製のフレームに囚われずに思考する力だと思います。

折角やるなら、やはり何か自分の好きなことの中から見つけていきたいものです。